格差について
2012年アメリカの経済学者アラン・クルーガーは、世界的に有名な「グレート・ギャッツビー・カーブ(図1)」を発表しました。横軸がジニ係数で、0に近いほど平等で、1に近いほど不平等であることを示しています。
(図1)
一般的に0.4が社会騒乱の警戒ライン、0.6が危険ライン社会と言われています。縦軸は、貧富の格差がどれくらい次世代へ伝わりやすいかを示す指標で、高いほど格差が伝わりやすく、社会的流動性が低いことを表しています。
この2つは有意に相関がありますので(右肩上がりの直線)、富裕層と貧困層の格差が大きい国ほど、親世代から子世代に不平等が受け継がれやすいことが示されています。
つまり、アメリカ、イギリス、フランスでは大きな格差が固定化しつつあり、日本も北欧の国に比べればかなり高く、これらの国に近づいているのです。
それでは、アジアの発展途上国ではどうなっているのでしょうか?
経済成長により、確かに絶対的貧困層は劇的に減少しましたが(図2)、全体のジニ係数は1990年代から2000年代にかけて、0.39か ら0.46に悪化しています(アジア開発銀行ADB)。このことは逆に経済成長を妨げ、社会不安などのリスクを増大させると考えられています。
(図2)
その対策には、医療や教育などの社会保障を充実し平準化させることが必要なのです。私たちは発展途上国の医療格差是正に協力したいと考えております。
⦁ アジア諸国と日本の間に医療全般について技術交流、意見交換、情報収集、システムの実証並びに提案、またそのためのプラットフォームの構築支援
⦁ アジア諸国での医療・看護・介護人材育成の支援
⦁ アジア各国の病院との提携による一貫した医療体制の確立支援
⦁ 遠隔医療を用いた医療資源の格差の解消
⦁ ICT(Information and Communication Technology)による日本からのセカンドオピニオンの提供
What is The Great Gatsby Curve?より改変
Key Indicators for Asia and the Pacific 2015より改変