タイ、ミャンマー国境の医療活動視察事前調査

2016年12月9日より横溝理事と新たに当協会の理事に就任されたパチャ理事は、チェンマイ県センダオ郡Maungna(タイ・ミャンマー国境)に赴き2017年2月に予定されている日・タイ医療活動の事前調査のため、現地医療事情視察を実施しました。

この地域は山深い無医地区ですが、タイ政府の努力により4か所の保健所が開設され各保健所に一人ずつ派遣された看護師が地域の医療を支えています。この地域に医師が訪れたのは、10年以上前に布教活動目的で外国人医師が一度だけ訪れた事が有りました。当時は医療活動が実施されず老眼鏡が無償配布されました。

この視察は、AMEFAボランティアメンバーの方々も同行し、通訳、現地の要望、希望などの聞き取りを協力していただきました。また、タイ王国国境警備隊(タイ王国警察及びタイ王国陸軍)のご協力も頂きました。

写真は、現在閉鎖されているタイ・ミャンマー国境ゲートにて左からMr.Pongsak Seanagaoi Maungna郡郡長、Pacha理事、一人置いて横溝理事、婦人運動のリーダーで元市長の Miss.Lakela Chataw氏 、現地を案内していただいた国境警備隊の方々。

タイ・ミャンマー国境山岳地帯には両国を挟んでカレン族、タイヤイ族、アカ族、カチン族、ラフ族などの少数民族の方が暮らしています。

現在は閉鎖されているタイ・ミャンマー国境のイミグレーション。閉鎖されてから15年ほど経過しているので周囲はうっそうとした木々で蔽われています。

閉鎖されている国境ゲート。手前にタイ王国旗、奥にミャンマー国旗が掲げられています。両国国旗の中間地点が国境です。

現地の市長、郡長、少数民族、国立公園の管理者、森林局のレンジャー、タイ政府保健省より派遣されている看護師の各代表から現地医療事情や要望などを伺いました。聞き取り調査は保健所で実施されました。

現地では、看護師が現地少数民族の医療を支えています。
急病人は車で2時間から3時間の距離にあるチェンダオ市にある病院へ、重篤の患者さんは車で5時間から6時間かけてチェンマイの病院まで搬送しています。

保健所内の様子。この日は母子健康診断の日でした。訪れた人の中には、山道を2日ほどかけて診察に来た人もいます。

現地の保健所では定期的に健康診断や保健衛生について講習を実施していますが、少数民族の大多数はタイ語の読み書きが出来ず、彼らの言語を理解する通訳が必要です。近年は彼らの子供達が学校に通い、タイ語で教育を受け始めたので近い将来には円滑なコミュニケーションが期待されます。

現地は昼夜の気温差が激しく、冬季(1月、2月)は昼間30度近くまで気温が上がり、夜間は氷点下まで気温が下がることもあります。

調理や暖を取るために薪を使う事に加え、家庭のゴミを各自で焼却しているため、塵埃による健康阻害も問題となっています。

少数民族の食事風景。朝晩は気温が下がるので焚き火を囲みながらの食事です。

タイ語でバーン マイ サマキ、団結の家です。この家は地元の篤志家、Mrs. Keyv Pha Vokさん がエイズ患者に持ち家を解放して患者同士が互いに励まし支え合っていく場を提供しています。また、患者の悩みや困りごとの相談を親身になって世話をしています。
写真は地元の篤志家とサポートの方、患者の方と子供の患者さん、AMEFAメンバーです。

国家、国境の意識が乏しい少数民族の人達は国籍を取得していない方も沢山住んでいます。
国籍を持たない人は国の援助対象者から除外されるので家族や親せきの助けを借り自費でエイズ治療薬を購入しています。産業に乏しく自給自足の生活では薬の購入が出来ない現状です。